東大阪 枚岡 内科 呼吸器科
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2022年1月1日     

電話: 072−986−1400    
Fax : 072−986−1401    

 


医療情報
Medical Information
呼吸器疾患のアレコレ
  1. 気管支喘息(ぜんそく)
  2. 慢性閉塞性肺疾患COPD
  3. 睡眠時無呼吸症候群
  4. 咽喉頭異常感症、過換気症候群など呼吸器心身症
  5. 気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎
  6. 間質性性肺炎、肺線維症
  7. 胸膜炎、膿胸
  8. 自然気胸
  9. 肺がん(肺癌)
  10. 肺結核症
アレルギー性疾患のアレコレ
  1. 気管支喘息(ぜんそく
  2. 蜂アレルギー、食物依存性運動誘発アナフィラキシーなど
  3. アトピー性皮膚炎
  4. 仮性アレルゲンとは
  5. アレルギーを起こしにくい食生活
  6. 口腔アレルギー症候群
  7. ラテックスアレルギー(ラテックス・フルーツ症候群)
  8. 当院のアレルギーの診療についてのよくあるご質問

呼吸器疾患のアレコレ

1)気管支喘息(ぜんそく)
 発作性(突然)に息がゼェーゼェーして息苦しくなり、咳や痰(たん)も出てくる病気です。最近では、ゼェーゼェーいわずに咳だけが長引くタイプ(咳型喘息)も増えてきました。小児期に発病するアトピー型と中高年から発病する感染型がありますが、いずれも気管支のアレルギー性炎症により気管支壁の筋肉が収縮したり、気管支壁がむくんだり、痰分泌が増えることで、気管支の内腔が細く、狭くなって喘息発作が起こります。治療は、喘息治療管理ガイドラインで勧められている吸入ステロイドを正しく使用すれば、90%の患者さまは良くなります。また、薬物治療だけでなくガイドラインで勧められている抗原回避のための環境整備についても、当院では積極的にご指導させていただきます。
 当院では、ガイドラインに沿った標準治療を行っても改善しないような重症の患者さまの治療にも力を入れています。バイオ製剤(生物学的製剤)、抗体製剤と呼ばれる最新治療も当クリニックで可能です。


2)慢性閉塞性肺疾患COPD
 たばこ喫煙により起こる慢性気管支炎と慢性肺気腫を合わせて慢性閉塞性肺疾患COPDといいます。慢性気管支炎は、文字通り、咳と痰が慢性に続く病気です。慢性肺気腫は、気管支が何回も枝分かれした末端にくっついている無数の肺胞の壁が壊れて、肺そのものがパンパンに膨らむ病気です。進行するとだんだんと息切れが強くなり、日常生活にも支障をきたすようになります。COPDの診療にも喘息と同様に、日本呼吸器学会の「慢性閉塞性肺疾患診断と治療のためのガイドライン」やWHOのガイドライン「GOLD」があり、当院でも、これらに沿った標準治療を行っています。
 胸部X線(およびCT検査)、精密肺機能検査で正確な診断をつけ、禁煙指導、薬物療法、呼吸リハビリテーション、在宅酸素療法などの包括的な治療を行います。
←当院で行っている肺機能検査の測定器です。

3)睡眠時無呼吸症候群
 夜、寝ている時に大きないびきをかいているかと思うと、今度は呼吸が一時的に止まる、というようようなことを繰り返す病気です。呼吸が止まるので、息苦しくなって目が覚めたり、悪夢をみているようで熟睡感がなく、そのため昼間に強い眠気が起こります。居眠り運転のため交通事故を起こしたり、仕事中の眠気で労働災害を起こしてしまう方もあります。そこまで至らなくても仕事や学業の能率が低下します。また、睡眠時無呼吸症候群と、高血圧症、不整脈などの循環器疾患、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、脳梗塞などの脳血管疾患、夜間突然死などとの関連も指摘されています。
 新幹線の運転士さんが居眠り運転をしていたことが報道されてから一般にもよく知られるようになりましたが、この病気をお持ちの方は、人口の1〜2%、すなわち日本では100万人以上おられると考えられています。
 睡眠中の大きないびき、呼吸停止、昼間の強い眠気。このような症状に思い当たる方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
 睡眠時無呼吸症候群かどうかの正確な診断のために、当院では睡眠モニター検査を行っています。
←当院で常備している睡眠モニター測定装置です。
10秒間以上呼吸が止まった状態を一回の無呼吸発作として、一晩に30回以上、あるいは一時間あたりの平均回数(無呼吸指数)が5回/時以上を睡眠時無呼吸症候群と診断します。そして無呼吸指数が20〜40回/時以上の重症の睡眠時無呼吸症候群の方には
在宅持続陽圧呼吸療法という治療方法を行います。これは、鼻にかぶせたマスクから特別な器械で一定の(あるいは変動する)風圧で空気を流すことによりのどの奥を開いて、睡眠中いびき、無呼吸がおこらないようにする治療法です。もちろん健康保険が利きます。この治療法により昼間の眠気がなくなり仕事の能率や学業成績が上がったりします。
 睡眠中の大きないびき、呼吸停止、昼間の強い眠気のある方は、是非一度、当院でご相談下さい。

持続陽圧呼吸療法のイメージ図
4)咽喉頭異常感症、過換気症候群など呼吸器心身症
 現代はストレス社会と言われます。種々の精神的ストレスが、身体症状として現れる病気を心身症といいます。特に呼吸器は、ストレスによる症状が現れやすい臓器で、急に息苦しくなって息がハァーハァーして呼吸を止めることができず、手足や唇がしびれてくる発作(過換気症候群)や、のどや食道部に詰まったような感じが取れず、いろいろ内視鏡などで調べても何も異常なしという咽喉頭異常感症などがあります。気管支喘息も、アレルギー性疾患であるばかりでなく、心身症のひとつと考えられています。当院では、身体的な治療だけでなく簡単なカウンセリングも行いながら、精神安定剤、抗うつ薬など薬物療法も駆使して治療にあたります。

5)気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎
 たばこも吸わないのに、慢性の咳、痰が続く場合、これらの疾患が考えられます。特に、びまん性汎細気管支炎は、厚生労働省の特定疾患(難病)にも指定されていますが、最近では、特効薬のエリスロマイシン少量長期療法で、ずいぶん良くなることがわかってきました。この治療法は、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)にも効果があることがわかり、耳鼻科の先生方もぞくぞくとこれを採用しておられます。実際、気管支拡張症やびまん性汎細気管支炎に慢性副鼻腔炎はしばしば合併し、ほんとうはひとつながりの病気なのかもしれません。当院では、積極的にマクロライド少量長期療法(エリスロマイシン、クラリスロマイシン)を行います。

6)間質性性肺炎、肺線維症
 気管支の先のまた先にある肺胞の壁に炎症が起こる病気が間質性肺炎で、肺胞の壁に線維が増殖して肺が縮んで硬くなり、息切れがでてくる病気が肺線維症です。カビや羽毛などを吸入して肺の中でアレルギー反応が起こるために発病するもの、リウマチなど膠原病が肺に起こって発病するもの、原因がまったくわからない特発性など種々のタイプがあります。急性型、亜急性型の間質性性肺炎には、ステロイドホルモン剤が著効するので、胸部X線、CT検査、血液検査、気管支鏡検査で正確に診断して、治療効果があるかどうか調べてから、治療を開始するかどうか決定します。慢性型の間質性性肺炎、肺線維症には、ステロイドは無効どころか逆効果のこともあるので咳止め、在宅酸素療法などの対症療法を行いながら急性悪化しないかチェックしていきます。間質性肺炎、肺線維症についても、診療ガイドラインがあり、クリニックの範囲でできる標準治療を行っていきます。平成21年12月に新発売になった特発性肺線維症治療薬ピレスパ(ピルフェニドン)錠も処方可能です。

7)胸膜炎、膿胸
 肺を包んでいる2枚の胸膜の間(胸腔)に水(胸水)が貯まった状態です。 いろいろな原因で胸水が貯留しますが、多くは、結核性胸膜炎か癌性胸膜炎です。その他リウマチ、アレルギー、寄生虫感染、胸膜中皮腫によるものなどがあります。胸に局所麻酔をして痛くないように、細い針を刺して胸水を抜いて原因を調べます(胸腔穿刺)。胸水が大量で、貯留スピードが早い場合には、胸に細いチューブを刺しこんで持続的に吸引します(持続胸腔ドレナージ)。癌性胸膜炎では、持続胸腔ドレナージとともに胸腔内に接着剤を注入して2枚の胸膜をくっつけてしまう治療法(胸膜癒着術)があり、これに成功すると、予後が改善する(生存期間が延びる)ことが証明されています。結核性胸膜炎の場合は、肺結核症と同様に抗結核薬を服用していただくだけで治ります。胸腔内に嫌気性細菌などが感染して、膿が貯まった状態を膿胸といいます。膿胸は、抗生物質の内服や点滴だけでは改善せず、持続胸腔ドレナージが必要になります。当院では、クリニックの処置室で胸腔穿刺までは行なって、できるだけわざわざ病院に入院しなくても診断、治療ができるように努力いたします。

8)自然気胸
 突然、肺に孔があいて肺がしぼんでしまう病気です。いわば、「肺のパンク」の状態で、この病気になると、突然激しい胸の痛みが起こり、息が苦しくなります。胸部X線写真を撮影すれば、一目瞭然で診断がわかります。背の高い若い男性に多い病気ですが、中には年配の患者さま、女性の患者さまもいらっしゃいます。軽い気胸なら、安静のみで数日で肺は自然に膨らみます。中等度以上の気胸では、胸に細いチューブを刺しこんで漏れ出た空気を持続的に吸引します(持続胸腔ドレナージ)。通常、この処置で数日のうちに肺は膨らみ、チューブを抜くことができます。しかし、中には、空気漏れがいつまでも続く場合があります。このような方には、手術を行って空気漏れの孔をふさぐ必要があります。その場合は信頼できる病院の呼吸器外科をご紹介いたします。呼吸器外科では、胸腔鏡という内視鏡を使って手術をして下さるので、痛くなく、術後の痛みも軽いのです。
 自然気胸という病気は、安静だけ治したりあるいは持続胸腔ドレナージのみで肺が膨らんで治った方も、再発の確率が50%あります。2回目の気胸が起こって、内科的に治した方も、3回目に気胸を起こす可能性が75%あります。このように再発を繰り返す度に、再発率が高くなっていきますので、2回目の気胸を起こされた方には、呼吸器外科で胸腔胸手術をお受けになるようにお勧めします。


9)肺がん(肺癌)
 気管支・肺の上皮細胞が悪性化(がん化)したものです。がん全 体に言えることですが、癌細胞は無制限に増殖して発癌した部位の正常機能を破壊していきます。そして発癌した場所にとどまらず、ほかの部位に「とびひ」していきます。これが転移というものです。転移の仕方には、二種類あって、ひとつは癌細胞が血管のなかに入って血流にのって遠くへ運ばれ、たどり着いた場所でさらに増殖していく血行性転移というものです。肺がんからは、肺そのもの(反対側の肺など)、脳、骨、肝臓、副腎などへの転移が多いです。もうひとつの転移の仕方は、肺の中に張り巡らされているリンパ管に癌細胞が入り込んでリンパの流れに乗ってリンパ節に転移します。
 健診で発見された胸部X線上の異常陰影、頑固な咳、血痰などの症状は肺がんの初期症状のことがあります。そのような場合まず胸部X線撮影をさせていただき、次に喀痰を出していただいてその中に癌細胞が含まれていないか調べます(喀痰細胞診)。喀痰の出ないような患者さまの場合、気管支内視鏡検査が必要になりますが当院では行っていませんので適切な病院をご紹介いたします。
幸い早期に発見されどこにも転移がない患者さまには手術をお勧めしております。ご希望により適切な信頼できる病院をご紹介します。
 手術の適応でない患者さまには、放射線治療が有効なことがありますが、こちらも信頼できる病院ご紹介します。最近では、小さな肺がんであれば、ピンポイント照射といって、放射線を一点に集中させて照射することにより副作用を軽くする方法もあります。
 抗癌剤治療しか残されていない方の場合でも、ご希望により当院でも通院で施行させていただいます。最近話題の
分子標的薬イレッサ、タルセバの治療も行ないます。
 がんが進行した患者さまには、緩和ケアで痛みや息切れを最小限にするような治療をご提供していきます。通院のむずかしい患者さまには訪問診療も行います。


10)肺結核症
 
近年急速に減少してきた結核患者数が、最近は減少傾向が鈍り、増加に転じています。長引く咳、痰、微熱の症 状があるときには、今でも結核は重要な鑑別疾患のひとつです。
 結核の疑いのあるかたにはまず、胸部]線撮影を行い、結核に特徴的な影がないか調べます。次に、喀痰を容器 にとっ提出していただき、結核菌がいるかどうか調べます。喀痰に結核菌が見つからなかったり、喀痰が出ないかたの場合、鼻から細いチューブを入れさせていただき、胃液を取ってその中から結核菌がみつからないか調べます 。何故、胃液かとびっくりされる方もあろうかと思います。人間は、夜中、寝ている間も気管、気管支の上皮に付いている繊毛が動いて肺の奥の喀痰がのど元へ移動してきます。それを睡眠中、知らず知らずのうちに咳き込んで 飲み込んでいるのです。朝、朝食前に胃袋に貯まった胃液には喀痰が含まれているのです。胃液の中には胃酸が含まれていますので、通常の細菌はその酸のために死んでしまうのですが、結核菌は別名、抗酸菌といわれるほど酸に強いので、胃酸の中ででも生きているのです。それで、胃液を調べると結核菌の有無が解るのです。
 その他、ツベルクリン反応も結核の診断の参考になります。前腕に注射させていただき、48時間後にどれくらい 赤く腫れたか計測します。また、さらに最近では、クォンティフェロンQFT検査もできるようになりました。これは、血液検査で、採血させていただいた血液中のリンパ球に結核菌のエキスを添加して、リンパ球が反応して産生するインターフェロンγを測定するものです。これが陽性になりますと、結核菌感染ありということになります。
 喀痰や胃液の中の結核菌を調べる方法を少し詳しくお教えします。喀痰や胃液を直接、ガラス(プレパラート) に塗りつけて染色して菌に色が付くようにして顕微鏡で見えるかどうか調べます。これを塗沫検査といいます。塗沫検査で、菌が一個だけ見える場合、ガフキー1号といいます。菌が数え切れないほどウヨウヨみえる場合をガフキー10号といいます。このようにして菌の量を数字で表現します。もちろん数字が大きいほど重症です。
 喀痰から大量の排菌のあるかたは、結核予防法により国立療養所等に転院していただかなければなりませんが、周 囲への感染の心配のないかたは、当院に通院してお薬を飲んでいただき在宅療養することも可能です。それでも6ヶ月から1年間の治療が必要です。


以下作成中
アレルギー性疾患のアレコレ

1)気管支喘息(ぜんそく
 発作性(突然)に息がゼェーゼェーして息苦しくなり、咳や痰(たん)も出てくる病気です。最近では、ゼェーゼェーいわずに咳だけが長引くタイプ(咳喘息)も増えてきました。小児期に発病するアトピー型と中高年から発病する感染型がありますが、いずれも気管支のアレルギー性炎症により気管支壁の筋肉が収縮したり、気管支壁がむくんだり、痰分泌が増えることで、気管支の内腔が細く、狭くなって喘息発作が起こります。治療は、厚生労働省研究班の喘息治療ガイドラインで勧められている吸入ステロイドを正しく使用すれば、90%の患者さまは良くなります。また、薬物治療だけでなくガイドラインで勧められている抗原回避のための環境整備についても、当院では積極的にご指導させていただきます。
 当院では、ガイドラインに沿った標準治療を行っても改善しないような重症の患者さまの治療にも力を入れていきます。

2)蜂アレルギー、食物依存性運動誘発アナフィラキシーなど
 アレルギー反応の中でも最も強い反応が急激に出現する、最も危険な状態 です。蜂アレルギーの方が蜂に刺されたり、ある特定の食べ物を食べた直 後に運動した場合、全身の皮膚が赤くかゆくなってきて、のどが狭くなって息ができなくなってきます。喘息発作も併発します。すぐに救急車をよんで病院で治療しなければなりません。救急車も間に合わないこともあるので、アナフィラキシー反応の特効薬エピネフリンの携帯用自己注射薬(ペン型のエピネフリン注射剤、商品名エピペン)を常備していただくこともあります。このような状態の経験のある方は、一度当院にご相談下さい。詳細なアレルギー検査を行って、原因物質を明らかにし、予防法をごいっしょに考えていきます。


3)アトピー性皮膚炎
 かゆみのある発疹が、悪くなったり良くなったりを繰り返す皮膚病です。多くはアトピー素因といって、ぜんそくや花粉症などのアレルギーの家族歴(血縁の家族にその病気があること)があります。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能異常(外界からの刺激から皮膚の中を守る働きの異常すなわち皮膚の乾燥と易刺激性)とアレルギー反応によって起こります。したがって、治療は皮膚のお手入れ(スキンケア)とアレルギーの予防ということになります。スキンケアは以下の方法が勧められています。

スキンケアの要点
1. 皮膚の清潔
毎日の入浴、シャワー
●汗や汚れは速やかにおとす、しかし、強くこすらない
●石鹸・シャンプーを使用するときは洗浄力の強いものは避ける
●石鹸・シャンプーは残らないように十分にすすぐ
●痒みを生じるほどの高い温度の湯は避ける
●入浴後にほてりを感じさせる沐浴剤・入浴剤は避ける
●患者あるいは保護者には皮膚の状態に応じた洗い方を指導する
●入浴後には、必要に応じて適切な外用剤を塗布する    など
2. 皮膚の保湿
保湿剤
●保湿剤は皮膚の乾燥防止に有用である
●入浴・シャワー後は必要に応じて保湿剤を塗布する
●患者ごとに使用感のよい保湿剤を選択する
●軽微な皮膚炎は保湿剤のみで改善することがあるなど   など
3. その他
●室内を清潔にし、適温・適湿を保つ
●新しい肌着は使用前に水洗いする
●洗剤はできれば界面活性剤の含有量の少ないものを使用する
●爪を短く切り、なるべく掻かないようにする(手袋や包帯による保護が有用なことがある)など


 アレルギーについては、原因物質をつきとめてそれを避けること、皮膚にくっつかないようにすることです。原因が食物にある場合はその食物を食べることを控えなければなりません。
日本人のアレルギーの原因の70%以上は家のほこり(ハウスダスト家塵)とその主成分であるダニといわれています。
家塵中ダニの除去を目的とした室内環境改善のための注意
(喘息予防・管理ガイドライン2006、P74)
@床の掃除:床の掃除機かけはできるだけ毎日実行することが望ましいが、少なくとも、3日に一回20秒/平方メートルの時間をかけて実行することが望ましい。
A畳床の掃除:畳床のダニと寝具は相互汚染があるので、特に掃除機かけには注意が必要である。3日に一回20秒/平方メートルの時間をかけて実行する必要がある。
B床以外の清掃:電気の傘、タンスの天板なども年に一回は徹底した拭き掃除をすることが望ましい。
C寝具類の管理:寝具類の管理は喘息発作を予防する上で特に大切である。1週間に一回は20秒/平方メートルの時間をかけて、シーツを外して寝具両面に直接に掃除機をかける必要がある。
D布団カバー、シーツの使用:こまめなカバー替え、シーツ替えをすることが望ましい。ダニの通過できない高密度繊維のカバー、シーツはより有効である。
E大掃除の提唱:室内環境中のダニ数は、管理の行き届かない部分での大増殖が認められるので、年に一回は大掃除の必要がある。

4)仮性アレルゲンとは
 食べ物の中にはヒスタミンなどかゆみのもとになるような成分を含んでいるものがあります。このような痒み誘発成分にはヒスタミンの他にチラミンやセロトニンと呼ばれるものもあります。ビールで身体にブツブツができる、たけのこのあく抜きが不充分でノドがイガイガする、トマトやしょうゆが皮膚について赤くなるなどご経験がある方もおられるでしょう。このように、食品にヒスタミンなどが含まれていて、アレルギーと同じ症状が起きるのを仮性アレルギーといいます。この反応を起こすものが仮性アレルゲンなのです。
ヒスタミンの含有量の多い食品はチーズが代表的です。パルメザンチーズの類はヒスタミン含有量が非常に多いことが分かっています。
このように以下の食品はかゆみを起こすことがありますので、大量摂取を避けるなどして気をつけましょう。

発酵または醸造食品 パルメザンチーズ、ワイン、ビール、みそ、しょうゆ
野菜トマト、ほうれん草、なす、やまいも、エノキダケ、まったけ、タケノコ
肉類 牛肉、豚肉魚介類さば、マグロ、イワシ 
果物 バナナ、パイナップル、キウイ、いちご種実ピーナツ、アーモンド
その他 卵白、チョコレート サラミソーセージ

ヒスタミンを含む食品・・・・ほうれん草、なす、トマト、牛肉、鶏肉、えのきだけなど。
アセチルコリンを含む食品・・・トマト、ナス、タケノコ、ピーナッツ(落花生)、山芋、くわい、里芋、そば、まつたけ、など。
セロトニンを含む食品・・・ トマト、バナナ、キウイ、パイナップルなど。
ノイリンを含む食品・・・  冷蔵のたら、さんま、塩しゃけなど。
トリメチールアミンオキサイドを含む食品・・・かれい、たら、いか、たこ、
あさり、海老など。


5)アレルギーを起こしにくい食生活
1. 緑黄色野菜、海草類など食物繊維が豊富でビタミン、必須ミネラルに富む食品を十分にとりましょう。肉類は控えめにしましょう。和食を基本すると良いでしょう。
2. 脂肪と砂糖の摂取を控えめにしましょう。フライもの(揚げ物)、ファーストフード、チョコレート、ケーキ、ポテトチップス類、甘い缶ジュース、コーラを避けましょう。
果物は良いのですが、摂りすぎはいけません。果物。、アルコール、みりんも腸内のカビの発育を助けてアレルギーを起こします。
3. リノール酸(ベニバナ油、ゴマ油、コーン油など食用油、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング)の多い油を避けて、αーリノレン酸の多い油(シソ油、エゴマ油)にしましょう。エイコサペンタエン酸EPAあるいはドコサヘキサエン酸を含む青い背の魚をとりましょう(ただしサバなどにアレルギーのある場合は禁物です)


6)口腔アレルギー症候群
 ある食べ物を食べた直後に唇や舌、口の中の違和感とかゆみが出現し、同時にくしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの花粉症のような症状とのどが詰まるような症状(咽喉頭閉塞感)がでてくるアレルギー病の一つです。花粉症との関係が深く、スギ花粉症では7〜16%に、北海道に多いシラカンバの花粉症の方では約20%の方に、この口腔アレルギー症候群の合併がみられます。また原因になる食物(果物、野菜が主です)にも特徴があり、スギ花粉症の方ではトマト、シラカンバ花粉症では、リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、イチゴ、ウメ、セロリ、ニンジン、ジャガイモ、トマト、キウィが挙げられます。口腔アレルギー症候群の患者さまはこれらの食物の摂取に注意が必要ですが、加熱したもの(缶詰、加工ジュース)であれば大丈夫です。もし間違って生のものを食べてしまったら、出来るだけ早く抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を飲むようにします。

7)ラテックスアレルギー(ラテックス・フルーツ症候群)
 ラテックスとは、天然のゴムの木の樹液のことです。天然ゴムから作られた製品(ゴム手袋やコンドームなど)をつけると、接触した皮膚や粘膜にかゆみ、発赤、膨疹(じんましん)、水疱(みずぶくれ)ができます。じんましんが全身に広がることもあり、上に述べたアナフィラキシーという命に関わるような全身アレルギー反応に至ることもあります。
 ゴム製品だけでなく、ラテックスに強い交叉反応性のあるバナナ、アボガド、キウィ、クリ、トマト、ポテトを食べてもアレルギー症状がでます。そのためラテックス・フルーツ症候群とも呼ばれます。 中等度の交叉反応性がある食物としてパパイア、パッションフルーツ、イチジク、マンゴ、パイナップル、メロン、ピーチ、ネクタリン、リンゴ、ニンジン、ホウレンソウがあります。
 軽度の交叉反応性があるものに小麦、ライ麦、セロリ、プラム、チェリー、アプリコット、ブドウ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、イチゴ、クルミ、ピーナッツ、ソバ、ピーマン、トウモロコシがあります。
 治療としては、予防が一番で、ラテックスの成分を含まないアレルギー用のゴム手袋を使用すること、原因になる食物摂取を避けることです。

8)アレルギーの診療についてのよくあるご質問
質問: 8歳の男児です。食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの疑いがあるとかかりつけの小児科で言われました。そちらのクリニックではいろいろな検査が可能とお聞きしました。ぜひ検査を受け,原因食物などを知りたいのですが,8歳でも診ていただけるでしょうか?よろしくお願いいたします。
お答え: 食物依存症運動誘発アナフィラキシーとの診断を受けられたのですね。場合によっては生命に関わる病気ですので、ご心配お察しします。アレルギーの検査については、後述しますが、検査より先にすべきことは、お子さんと学校の担任の先生、養護の先生に、食べてはいけない食品を知らせておくこと、もしその食物を食べてしまってもすぐに運動しないこと、動かないこと、を徹底してお話しして理解してもらうことです。そして、アナフィラキシーが起こってしまったときの緊急時のために、エピペンを用意して常に携行するか、学校用および家庭用に常備しておくことです。学校の先生にもエピペンの使い方について知っておいてもらう必要があります。エピペンの使い方を説明したDVDがありますし、練習用のエピペンもありますので、学校の先生にも実際に注射する練習をしておいてもらいましょう。

9)アレルギーの検査について(上記のご質問に対する答えの続き)
お答え: 次にアレルギーの検査についてお答えします。

当院はアレルギー専門クリニックですので、「アレルギーの血液検査をして欲しい」といって受診される患者さまが大勢いらっしゃいます。そのような時、私は必ず、「アレルギーは血液検査ではわかりません」とお答えしています。他の病院・診療所でアレルギーの血液検査をしてもらったという方がおられますが、それは、血液中の非特異的IgE抗体、そしてハウスダスト、ダニ、種々の食物抗原、花粉抗原、動物抗原に対する特異的IgEのことを指しておられるのだと思います。しかし、アレルギーは血液中のIgE抗体だけでなく、リンパ球がその抗原を覚えていてその抗原が体内に入ったときに反応してアレルギー反応が起きるメカニズムも存在します。血液中を流れているIgE抗体を測定しただけでは、アレルギーの検査にはなりません。食物アレルギーの場合に多いのですが、ある食物抗原に対する特異的IgE抗体が高値でもその食物を食べても何ともないケースや、逆に特異的IgE抗体が陰性でもその食物を食べるとひどいアレルギー反応を起こすケースもあります。すなわちアレルギーの血液検査の結果と臨床症状は、一対一に対応しないのです。そのような不確実な検査は当院では行いません。アレルギーの血液検査は、保険点数が高いので、病院や診療所は検査をすればするほど儲かるので、クリニックによっては、半年ごと、あるいは3ヶ月ごとに血液検査を行なうところもあるようですが、その結果に従って薬を増やす、減らすとか、その食品を食べても良い、というように診療や生活指導に役に立っているとは思われません。
それでは「アレルギーの検査」はどうするのですか?と疑問に感じられることと思います。その答えは、「日常の生活の詳細な観察です」、とお答えしています。お子さんなら、親御さんにアレルギー育児ノートをつけていただきます。ノートのページの中央に線をひき、左欄に食生活、動物との接触、ほこりっぽい押入れの中で遊んだとか、詳しく記録し、右欄に、発疹や咳、喘鳴などアレルギー症状の増悪、軽快を記録します。あとから読んでみて、アレルギー症状の原因と思われる食物、その他の要因を推定していくのです。そして、原因となるものがわかったら徹底的にそれを避けていく、それがアレルギーの基本的な治療になります。
「アレルギーの血液検査は当院では行いません」、というと怒って帰ってしまわれる患者さまや親御さまもいらっしゃいますが、正しいアレルギーの診療は上記のような手順と信じて、当院ではこれを頑固に続けております。この説明をよく理解してくださった患者さまは、キチンと通院し上手にアレルギーをコントロールしておられます。
以上、長くなりましたが、当院でのアレルギーの診療の基本方針についてご説明いたしました。それでもよろしければどうぞ当院を受診して下さい。
以下作成中